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2024年11月5日(火)


早朝 5:20  朝風呂に入ろうと思ってロビーに行ってみると、なんと「うーぽん」すでに出勤!
お気に入りのソファーの上で寝てました。やっぱりこの場所が好きなんですね。
誰もいない内風呂に入ってみるが、あれ? なんだかお湯がちょっとぬるいぞ・・・

ま、朝だからかな? と思っていたところ、ご主人が現れて「すみません、ポンプが壊れました・・・」とのこと。
うわぁ、大変です。宿にとって風呂は生命線。
「今日はお客さんいらっしゃるんですか?」と聞くと、「今日はいないんです」とのこと。

不幸中の幸いだが、すぐに業者に電話して調べてもらうことになった。
一番に朝風呂をいただいて、自分はラッキーでした。


朝食は、なんと驚いたことにパンが登場してきた。4度目の宿泊で初めてだ。
温泉発酵パンや自家製ヨーグルトが食卓に並ぶ。焼きたてのパンは実に香ばしく、何度もお代わりしてしまう。
毎回ごはんのおひつをお代わりする我々にとっては、ちょっと調子が狂ってしまうが、実においしかった。

・猪肉と広葉樹の皮、卵を使った一品
・自家製マヨネーズを使ったコールスロー
・アントシアニン豊富なベリーのジャム なども並ぶ。そして、温かい豆腐、スープなどがいただける。


こちらのALPINE(アルピーヌ)のオーナーは、昨日の宿泊客の方だ。
昨日、我々が宿に到着したときに、入口で一服しながら我々の様子をじっと眺めていた方だ。
自分は車のことは詳しくないが、どこから見ても実に素敵なスポーツカーだ。

今朝、朝風呂に入ったあと、ロビーで一緒になったのでしばらくお話しすることになった。
和歌山県は有田のみかんどころからの旅行らしい。

実は自分も9月にまさにその地「有田みかん海道」を走ったばかりなので、一気に距離が縮まって盛り上がった。
さらに、この方も昔は自転車に乗っていたそうで、漫画「サイクル野郎」の思い出で話が弾む。

車の話、自転車の話、和歌山の二階王国の話など、朝から話が尽きず、すっかり意気投合してしまった。
お別れの際、皆さんにお配りくださいと、有田のみかんをいただきました。
奥さんとスポーツカーでの旅行だそうで、帰ったらみかんの収穫が忙しい、と言ってました。


いつものようのに、宿のご主人に記念撮影をお願いする。
前回は朝から雨で、出発前に全員で雨具を着たのを覚えている。今日はその心配はいらない。


ご主人と、奥様のお母さまが我々を盛大に見送ってくれた。
「また来てくださいよぉ〜」「元気でいてくださいよぉ〜」と両手を大きく振って見送ってくれる。
もう、その言葉を聞いて涙が流れるほど嬉しかった。「また来まーす!」と言ってお別れする。


明け方まで雨が降っていたようで、思い出のこの橋にも水たまりが少し残っている。
まずは、切明温泉からの登り返しが待っている。これがスタート直後の難所だ。


昨日の最後の分岐地点まで、約140mの登りだ。
スタート直後からの登りは、まだ目覚めていない足腰にはなかなかきつい。
まあそれでも、今日は三日間の中で、一番獲得標高が少ないから笑顔でいられる。


今日はひょっとしたら雨に降られるかもしれない。三日間の中で、一番降水確率が高くなっている。
見上げれば、上空は白い雲で覆われていて日差しはない。
それでも、濡れた路面と雨上がりの紅葉林道もまた味がある。


レンタバイクの看板があった。バイクで秋山郷を走ろう、という考えのようだ。
さすがにレンタサイクルは無理だろうが、レンタバイクなら相当面白そうだ。
やはり、ここは自転車で来るには厳しすぎるところなのかもしれない。


登り返しが終わると、しばらくは下り基調の快適な林道走行に変わる。
濡れた路面に散る落葉は滑りやすい。十分に気を付けながら走り抜けていく。


深い朝もやが徐々に消え始め、山々の山容が次第に見え始めてくる。
その神秘的な雰囲気は、まさに秘境と呼ぶにふさわしい眺めだ。

途中にある「滝沢の不動滝」は立派だ。しかし、まったくこの滝の記憶がない。
前回来た時は雨の中だったので、写真も撮らずに通り過ぎてしまったようだ。


快適な林道が続く。横に並べば、またまたパニア祭りだ。
美しい自転車の姿は、何枚撮っても「絵」になる。


空が明るくなって、木々の隙間から光が差し込んでくる。
日差しがまだないため、葉の色、幹の色、落葉の色、路面の色がよりわかりやすい。
落葉が実にいい色だ。そして紅葉の中を緩く蛇行していく道が素晴らしい雰囲気だ。


屋敷トンネルが現れる。前回雨の時は、ここに皆で逃げ込んだ記憶がある。
あの時に比べれば天国みたいなもの。まあ雨の林道は最悪だった。
トンネルを抜けると、その先に布岩山の巨大な岸壁が現れる。


布岩山の柱状節理

中津川左岸に湧き出る屋敷温泉を見おろす対岸の国道から眺めると、反物を幾重にも垂らしたように見える岩壁が「布岩山」です。
ほぼ直立する柱状節理は大きく、その柱の幅は1.5m以上を計測します。
また、よく観察すると、直立する柱状節理の上部には横位になる板状節理が形成されています。
節理の方向は、熱が逃げる方向を示しています。
この布岩山は安山岩に分類される岩石であり、鳥甲火山を代表する火山活動の景観として位置付けすることができます。

https://naeba-geo.org/nunoiwa



周囲の眺めが刻々と変化していく。まるで大きな雲海の中を行くような感じになってきた。
雨上がりでなければお目にかかれない、とても幻想的な雰囲気だ。


雨の心配はほとんどいらなくなってきた。逆に空が明るくなって、青空も期待できそうになってきた。
これでゴールまで一度も雨に降られなかったら、本当に奇跡としか言いようがない。
路面は格段によくなり、山岳展望に優れる素晴らしいコースになってきた。


道は二つ目のピークに向かって緩やかに登り始める。
再び深い木立の中へ入っていくが、ここからの景色が素晴らしかった。

見事な色彩に彩られた林道。路肩に積もった落葉。カラフルなウェア。
後ろから撮影していて、なんてカラフルで美しい構図なのだろうと、カメラマン本人が感動するほどだ。


この一枚もなかなか素晴らしい。
山を覆い隠していた白い靄が、徐々に消えていく。その動きが美しい背景を作り上げていく。
晴れていてはきっと見ることのできない、貴重なシーンを撮影することができた。


11:54  標高950m 二つ目のピークを越えた先の分岐で、メンバーの一人とお別れだ。
京都へ輪行で帰るため、ここから津南駅へ直行する。

列車本数が限られているため、本隊と一緒のコースでは間に合わない。
毎回遠くから参加してくれて本当にありがたい。ここで1名減って8名となった。


ここから飯山線に向かって、標高差700m程のダウンヒルが始まる。
三日目もまた豪快なダウンヒルをたっぷり味わえる。

今日は路面がまだ濡れていて、落葉も多いので慎重にコーナーリングしていく。
それにしても素晴らしい紅葉が延々続く。こんな贅沢な下りはちょっと経験がないかもしれない。

今日も素晴らしいダウンヒルの一部をご紹介しましょう。
●秋山郷 ダウンヒル https://youtu.be/L4tHOZT92nQ


しかし今日の下りは、昨日までの快適な路面と違って結構荒れている。
段差やひび割れが多く、調子に乗って下っていくと、かなりの衝撃がハンドルに伝わってくる。
自転車大丈夫かな? とちょっと心配しながら下っていく。

先頭が適当な所で小休止する。人数を確認して再び下り始める・・・と、その時「あっ! 空気抜けてる!」
やっちまいました・・・パンクです。この荒れた路面なので、多分チューブの損傷でしょう。
極薄軽量チューブなので、ブレーキの熱で溶けた? と調べると、やはりスネークバイトでした。


時刻はちょうど12時を過ぎたところ。
昼食にグッドタイミングなので、パンク修理を兼ねてランチタイムに決定! 
昼食にちょうどいい場所もあって最高だ! とにかく何もかもうまく出来ている!

”昼食を食べ終わった後にパンク発見” なんて最悪のことが過去にあったけど、今日はそれのまったく逆だ。
今朝の朝食はパン食だったので、ちょうど皆さんお腹が空いたころだった。
ちょうどいいところでパンクしてくれました。

自分は、宿で作ってもらったお弁当に、チャーシュー入りの棒ラーメンをいただく。
やっぱり、旨いね棒ラーメン! チャーシューが入って絶品です!


お腹が一杯になったころ、とうとう明るい太陽がお目見えしてきた。
我々、いったいどこまで天気に恵まれているのだろう。

まだまだここからたっぷり下りを楽しめる。
深い木立の中、差し込む日差しを浴びながら気持ちのいいダウンヒルを満喫する。


13:43 下りきって、国道との合流地点でカーサイ組の一人とお別れだ。
いよいよこのツーリングもフィナーレに近づいてきた。

残るカーサイ組2名も、デポ地に向かって先頭を行く。
縦に長く、カラフルなおじさん列車が快走する。


いよいよ最後、カーサイ組2名とお別れだ。
この三日間、本当に楽しかった。そして皆さんよく走った。
天気に恵まれ、トラブルもほとんどなく、最高のツーリングだった。


最後に残ったのは輪行組5名。
他のメンバーと違って、我々はここからもう一度登りが待っている。

連日の疲れがピークに近づいてきた。もう、登りも勘弁してくれと言いたくなってきた。
津南駅を過ぎ、清津大橋から清津川に沿って南下する。


山から里へ降りてくると紅葉も今一つだ。
そして清津峡へ向かうこの道、かなりきつい登り返しが待っている。

まだゴールまでは20km以上残っている。なんとか明るいうちに着きたいと、疲れた体に鞭を打つ。
気が付けばまたパニア祭り! とうとう自分だけ仲間外れになってしまった。

15:35 清津川から分岐して国道に合流する。
さあ、十二峠トンネルへの最後の登りだ。
これを越えれば後は越後湯沢駅までは大したことはない。


十二峠トンネルまで標高差200m。30分で登れるだろうか?
しばらくは車の行き交う国道を、じっと我慢して登るしかない。

スノーシェッドが次々現れる。
きつい勾配の登りの中、大型トラックの轟音におびえながら、カメのようなスピードで進んでいく。

30分ちょうどで十二峠トンネルまで登ってきた。
時刻は16:00 そろそろ暗くなってくる。あまりのんびりはしていられない。
小休止して十二峠トンネルに入っていく。


トンネル内は意外と快適だった。
路面がとてもきれいで、照明も明るいためあまり恐怖感もない。
下りトンネルなので、スピードもかなり出るが、交通量も少なかったので、約5分で抜けきった。


トンネルを抜けてからのダウンヒルも豪快だった。今回のツーリングでの最高速を記録したことだろう。
薄暗くなる中、今日もライト点灯の時刻となってきた。

ところが、ゴールの越後湯沢駅まであと5kmの地点で、なんと工事中のゲートに出くわした。
おいおい、最後の最後にアクシデントか? まあいつものことだ、こんなの行けるでしょ!

と、ゲートを突破して先へ行くと・・・あれ? まだ今日は作業してるね(時刻は16:30)・・・ちょっと早いか?
どうしようか悩んでいると、工事現場の作業員がこちらに走ってきた・・・
うわ、怒られそう・・・久しぶりの”ダメダメおじさん”登場か? と、びくびくしていたら・・・


「すみません、この先は通れないんです。」
申し訳ないですが、その手前の道を上がってくれませんか?」と優しそうなお兄さん。 

「自転車も通れるように一生懸命工事してますので・・・申し訳ありません」と頭まで下げてくる。
こんな手寧な対応をされてはもめる気も怒らず、「こちらこそすみません」とすぐにUターンする。


最後にちょっとしたアクシデントがあったが、ほとんど遠回りにならず、無事に越後湯沢の街に入ってきた。
すっかり暗くなってきて、家の明かりや街灯の灯りも目立ってきた。

ゴール手前で、かすかにパラパラと雨の気配を感じた。ついに降られるか・・・
16:55 無事に越後湯沢駅に到着 と同時に、急に雨が”ザー”と降ってきた!
あまりのタイミングの良さに、皆驚きの表情だ。なんてラッキーなんでしょう!! 怖すぎるほど運がいい!


19:15発 越後湯沢始発の「たにがわ414号」に乗ろうと、みどりの窓口を探すが・・・ない。
全員大人の休日倶楽部、ジパング倶楽部の会員だ。少しでも安く、割引料金で切符を買いたい。

駅員に聞くと「話せる指定席券売機」を使ってくださいとのこと。何だそれ?
さらに調べてみるとショックなことがわかった。
越後湯沢→東京は199.2kmで、割引の200kmにわずか800m足らない! えぇ〜?、3割引きが使えない・・・

駅員さんに聞いてみた。
「東京まで200kmないんですよね? 3割引にならないですよね?」
「はい、そうなんですよ・・・でも、いい方法がありますよ!」
「えっ?」
「一つ手前の石打駅からの乗車券にすればOKですよ!」と裏技を教えてくれた。
「そんなことしていいんですか?」
「はい、大丈夫です。こうしておすすめしてます」ですって。
ということで、さっそく「話せる指定券売機」に挑戦だ。


券売機横に電話があるのでオペレーターを呼び出す。混んでいるときは待ち人数が表示される。
おいおい、時間がない時にこんなのんきなことやってられないぞ? とブツブツ言いながら繋がるのを待つ。
しばらくして画面にオペレーターの姿が表示された。いったいこの人はどこにいるの?

この駅にいるなら、出てきて操作してくれたほうが全然早いんですけど・・・
電話であれこれ話して、人数分の切符を申し込む。各自降りる駅が違うから面倒だ。
そして各自のカードで支払う。支払いは、一人づつカードを指定の場所に置くと、カメラで読み取られる。

暗証番号を入力すればチケットが発券されるが、暗証番号を忘れた人も・・・あれ?なんだっけな?
スマホ調べてわかったようで、「これであってます?」「大丈夫です」とやりとり。

うーん、マイナ保険証を使う時もこうなんでしょうね、きっと。
ここまで無人化した努力も凄いけど、果たして意味があるのか? 人に優しいとはとても思えない。


無事に切符を手配出来て、打上げ会場を探す。
石打→東京 205.6km となり、乗車券は3740円の30%引きで2610円となった。

裏技を教えてもらって、800円安くなった。これで一杯余計に飲める。
駅構内を歩き回ってようやく落ち着けるお店を見つけた。これでこの旅も、本当のフィナーレだ。


本当に素晴らしい三日間だった。何一つ失敗がなく、何一つ不満もなかった。
トラブルもパンクが一回だけ。よく走り、よく飲み、よく笑った三日間だった。

こうして最後の反省会も、何も反省することがないぐらい完璧なツーリングだった。
小一時間くつろいで、お土産を買ってホームへ向かう。


始発列車なので余裕だ。駅員も、「がらがらですよ」と言っていた。
すでに入線しているので早速乗車してみると・・・ホントだ、誰もいない。貸し切りだ!
好きな所に好きなように輪行袋を置いて、さあて二次会の始まりだ。


全然乗ってこない。ご覧の通りの「無人新幹線」だ。
いつも以上に盛り上がってしまったけど、周りに誰もいないので気にすることもない。
大宮、東京までは時間が短すぎる。もっと乗っていたいほど楽しい「宴会列車」だった。


コンビニで買った氷1kgがなくなるほど、飲んで食べて笑った車内。
最後には隠しつまみを披露しあって二次会終了となった。

終わってみれば、三日間で相当走っ た。
●距離 164.6km ●登り 3778m ●下り 3391m

なんと、富士山を登って下ったのに匹敵する内容だった。これだけ走れば満足度も十分だ。

さらに、素晴らしい天気と紅葉に迎えられて、過去最高のクラブランだったと言っていいだろう。

 

距離: 68.2 km
所要時間: 7 時間 30分 37 秒
平均速度: 毎時 9.1 km
最小標高:  222 m
最大標高:  1010 m
累積標高(登り):  1020 m
累積標高(下り):  1521 m

(2024/11/5 走行)


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