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2024年11月4日(月)


クラブラン二日目。天気予報を見れば、今日も天気は問題なさそうだ。
あれほど心配していた雨の予報は、いったいなんだったんだろう? 
いつものように、サイクリストの皆さんは朝から食欲旺盛だ。


全員揃って出発前の記念撮影。天気も心配なく、朝から気分は上々だ。
せっかく全員揃ったが、ここでサポートカーのご夫妻2名とお別れだ。

前日は、スタートからゴールまでしっかりサポートしていただいて、本当に助かりました。
残念だが、今日は残りの10名で走ることになる。


野沢温泉は朝から観光客で活気がある。外湯めぐりも楽しそうだ。
まずはこの町唯一のコンビニで食料の調達だ。我々にとっては、とても貴重な存在だ。


お土産屋が並ぶ遊歩道を、のんびり眺めながら温泉街を抜けていく。
その先に白い湯気が立ちこめる麻釜(おがま)が現れる。

麻釜(おがま)は、野沢温泉に30余りある源泉の1つで、100度近い熱湯をこんこんと湧出している。
また、国の天然記念物にも指定されている野沢温泉の奇勝のひとつだ。


温泉街を抜けると、道は一気に急勾配の山道に変わる。
とてもじゃないが乗れる勾配ではない。全員朝からのんびりと押して歩く。


それにしてもいい天気になった。本当に奇跡と言っていいぐらい、天気は急回復した。
暖かい日差し、気持ちのいい気温、まったく風のない穏やかな気候。なんて素晴らしい朝なのだろう。

ようやく乗車出来る勾配になり、のんびりと
燈籠木峠(とうろぎとうげ)を目指す。
徐々に眼下に野沢温泉の町並みが見えてくる。
すると前方にスポーツウェアを着た男性の姿が見えてきた。おや? 道路で何をしているのだろう・・・


そばに近づいて驚いた。先ほど下の道から見えていたシーンは、これだったのか!
たくさんの若者たちが、この急勾配の斜面をストックを使って登っているではないか。
その数100名以上! 「ハァハァ−、ゼーゼー」と言葉も発せないほどの激闘だ。

我々の通行を制して、道路を渡ってさらに登っていく。もう、その姿に驚きと感動しかない。
詳しく聞けば、なんと全員中学生だという。
きっと合宿でのトレーニングなのだろう。それにしても凄い。


最高の天気、無風、そして暖かい。ゆったりとした、貸し切りの峠路。
これほど心穏やかな峠道も久しぶりだ。

まだまだ走り始めで緊張感もほとんどない。しかし、今日のコースも結構厳しい。
まずは燈籠木峠へ、脚ならし程度に登っていく。


2002年5月 自分は初めてこの峠を越えた。下の写真はその時のものだ。
目の前に迫る関田山脈をはじめ、遠く妙高、黒姫、そして北アルプスまでがよく見えた。

当時の写真と比べると、野沢温泉の町並みも多少広がっている感じだ。
それにしても、ここからの大展望はやはり感動的だ。


どこまでも晴れ渡った秋空。山の稜線までくっきり見える。澄んだ青空が大きく広がる。
なんなんだ、この展望は・・・ここまで天気に恵まれるか! ってぐらいありえない快晴だ。


あまりの絶景に写真撮影が忙しい。通り過ぎてしまうのが惜しいほどの絶景だ。
そして、下界を見下ろしながらのヒルクライムは格別だ。


どこを見渡しても秋景色一色だ。やはりツーリングはこの季節が一番だろう。
のんびり会話をしながら峠へ向かう。本当に幸せなひと時だ。


上を見上げれば美しい色彩で満ち溢れている。
峠道ではなかなか上を見る機会がないが、こうして見上げると思わずその美しさに驚くことがある。


とにかく気分のいい峠道だ。開放感があって視界が広い。
「日本の夕日百景」に選ばれたサンセットポイントが現れた。

確かににここからの夕日は素晴らしいだろう。温泉街の灯りもきっと美しい事だろう。
そうか、そんな楽しみ方もあったかと教えてもらった。いつか、車を使って見に来たいものだ。


ますます秋景色が深まってきた。
ススキの穂が奇麗だから、こっち側走って! とテイク2でこの写真。
名コンビのカメラマンとモデルなので、いつも息はピッタリだ。


11:25 標高1014m 燈籠木峠
宿から1時間45分かけて450m登ってきた。相当のんびりしたペースだ。
前回自分が来た時は、立派な「燈籠木峠」と書かれた標柱が建っていた。

今日もそれを見たくて楽しみにしていたのだが、残念ながら朽ちてしまったのか、どこにも見当たらない。
実に味のある峠の標で、「野沢温泉小唄」の歌碑が刻まれていただけに実に残念だ。
この標がないと、ここが峠であることに誰も気づかないだろう。なんとか整備してもらいたいと思う。


今日も昨日とほぼ同じぐらいの標高差を登らなければならない。
総勢9名、人数が増えたおかげでトラブルの発生確率も上がってくる。
今日はコース途中、エスケープルートがまったくないので、とにかくノントラブルが必須だ。


奥へ奥へ、日本の秘境と呼ばれた奥志賀の奥地へ進んでいく。
距離も標高差もあるため、経験者でなければ走り抜けられない所でもある。

上ノ平高原に入ると、スキーのリフト下をいくつかくぐっていく。
さらに高度が上がると、
ますます大きく展望が広がってくる。


11:50 標高1200m付近 
とにかく勾配がきつい。美しい紅葉を眺める余裕もなく、ただただひたすら押していく。

風もない、車も来ない。静かな秋の高原の景色が続く。
落ち葉を踏みしめる音がいい。この季節にしか聴くことのできない、最高の響きだ。


気温も上昇し、冬支度のスタイルでは暑すぎる。
一枚脱ぎ、二枚脱ぎ、ついに自分は半袖Tシャツスタイルで登り始めた。
こんな時期に日焼け止めが必要になるとは思っていなかったので、今回は持ってこなかった。

標高も1500mに近づくと、さすがに展望もスケールが違ってくる。
さらに遠くまで、さらに大きく眼下に広がってくる。
爽やかな気候、澄んだ空気、そしてこの大展望。これだから11月のツーリングは気持ちいい。


時刻は13時になろうとしている。すでに腹ペコ状態。これじゃパワーも出ない。
本日のピークは標高1600m付近の大次郎山の脇あたり。
そろそろピークに近づくが、適当なランチポイントがない。日当たりと展望が揃っていないとダメだ。

この先に、どこかいい場所があるのか、ないのか? これは難しい判断だ。
焦って決めた後、後でがっかり・・・なんてことはよくある話。さて、こんな時はどうする? 
そう! グーグルストリートビューで調べましょう〜 ということで絶好の場所を発見した! さすがです!!


「奥志賀林道竣工記念碑」という大きな石碑周辺が、日当たりもよく絶好のランチポイントのようだ。
グーグルストリートビューで調べなければ、もっと手前のつまらないところでランチタイムになっていただろう。
これからは、この方法を使って絶好の場所を探すのもいいだろう。


本日の最高地点まで無事に登ってきた。今日もほぼ予定通り。
とにかく、何もかも上手くいって、何一つ不満がない。出来すぎの100点満点だ。

暖かい日差しの中、草むらに輪になって楽しいランチタイムの始まりだ。
今日は皆さん「麺祭り」? 出ました出ました、ビーパルの付録「棒ラーメンケース」。
なんだ、皆さん持ってるじゃないですか! これ、便利ですよね。


ここで常に先頭を引っ張って来てくれたY氏とお別れだ。
カーサイで車を野沢温泉に置いているため、ここでUターンしないといけない。

ここまで一緒に登ってきて、ランチタイムを一緒に楽しんで・・・そして戻る。
ありがたい。本当にお疲れ様でした〜

そして満腹の後、今日もまた豪快なダウンヒルの始まりだ。
1名減って、9名でのダウンヒルの開始だ。


これだけ人数が多くなると、なかなか全体の状況把握が難しくなってくる。
誰が先頭で、誰がラストだか時々わからなくなってくる。

2台のカメラマンが、前から後ろから完璧な体制でダウンヒルの様子を動画撮影する。
旅慣れたメンバーだから、撮るほうも撮られるほうもよくわかっている。
好き勝手に下っては台無しだ。常に全体を見ながら、先頭を行く者はペースを作らないといけない。

昨日に引き続き、今日も素晴らしいダウンヒルの一部を紹介しましょう。
(暴走おじさんたちの、華麗なダウンヒル映像をお楽しみください)
https://youtu.be/bM2kHoVpG-w


昨日に続き、これほどダウンヒル映像を撮影したのも初めてだ。とにかく、スリリングな下りが延々続く。
後ろから撮影していると、その人のダウンヒルの特徴がよくわかる。
なかなか自分のダウンヒルシーンなど見ることができないから、こうした映像はとても貴重だろう。

15:31 2020年11月に通過した、雑魚川林道の合流地点まで下ってきた。
調べてみたら、当時とまったく同じ時間に到着している。なんだか奇跡のようだ。
https://tougehenoshoutai.sakura.ne.jp/photoguide/2020_11_zakogawa/zakogawa.htm


4年前にここを走った時は、カラマツの落葉が一面に敷き詰められた、極上の絨毯ロードだった。(左の写真)
ガードに詰まって大変だったが、ふわふわとした乗り心地は何とも言えない感覚だった。

しかし今年は右の写真の通り、奇麗なアスファルト舗装が一面に続いている。
気温や訪れるタイミングが違うと、こうも景色が違うのかと驚かされる。


カラマツの絨毯にはお目にかかれなかったが、こんな昔のニューサイを思い出すシーンにお目にかかれた。
ニューサイ読者であれば、こんな伐採された丸太を見たら、すぐにあの表紙を思い出す。

ニューサイの表紙って、若かりし時代には強烈な印象があって、今でもしっかり脳裏に記憶されている。
ダウンヒル途中のコーナーで、この丸太が視界に入って、思わず「あっ!ニューサイの表紙」と叫んでしまった。


先頭もしっかり理解していて、ここで全員集合して記念撮影だ。
同じ時代を同じように走ってきた面々だから、見てきたものもほぼ一緒。
合言葉は「ニューサイの表紙」だけで通じる素晴らしさ。あぁ、なんて楽しいのだろう。


雑魚川林道に入ってからは、基本的には切明温泉まで下り基調の道・・・のはず。
プロフィールマップを見ても、多少のアップダウンはあるが、まあ大したことはない楽勝コース・・・のはず。
前回走った時も、それほど苦労した記憶が残っていない・・・のだが。


これほどアップダウンがあったっけ? と何度も何度も繰り返されるほど登り下りが続く。
もうこれでおしまいだろう、と思ってまただまされる。
前半の登りで脚を使い果たした体には、この最後のジャブのような攻撃が効いてくる。


この道は皆さん経験しているはずだが、全員「こんなに辛かったっけ?・・・」と振り返る。
実際に走ってみなければわからない、プロフィールマップでは読み切れないハードなフィナーレだった。


ようやくゴールが見えてきた頃、日没が迫ってきた。
今日はライトの出番はないかな? と思っていたのだが、やはり最後だけはナイトランになってしまった。


せっかく皆さん自慢のライトを装備してきたのだから、やはりここで使わないとね。
すっかり暗くなる程ではない、日没の入り口なので、時間も気持ちも余裕がある。

どちらからといえば、「待ってました、ナイトラン!」という感じで全員ライトON!
さあ、そんなダウンヒルの様子をまたご覧ください。

●雑魚川林道 切明温泉へのダウンヒル https://youtu.be/Rqy-ydVPKnY


次々視界に飛び込んでくる、眩しいばかりのライト。路面を昼間のように照らし、周囲を一気に明るくする。
その昔、かすかなバッテリーライトの灯りで、路面を真剣に見極めながら走っていた時代とは次元が違う。

明るいライトはもはや峠越え、林道走行には必須の装備だ。これなくして、安全性は確保できないと言っていい。
集団で走れば、もはや暗闇は怖いものなし。ダートの下りでもいつもと変わらぬスピードで下っていける。

17:08 切明温泉 雪あかり 到着
自分にとって、4度目の宿泊になる。ここへ来るたびに、心に残るツーリングが刻まれていく。


切明温泉 雪あかり(切明園)
4度目の宿泊になるので、これまでの記録を紹介しておこう。

1回目 1991/9/21
・ニューサイクリング No.180 (1979年10月号) 「 秋山郷と水平歩道」(永松康雄)に刺激されてやってきたが、あまりの過酷さに途中で雑魚川水平歩道をエスケープ。夜は川原で温泉を掘って浸かった記念すべきツーリング。
下の写真は、今でも宿に貼られているその時の写真だ。
https://tougehenoshoutai.sakura.ne.jp/photoguide/1991_09_kiriake/kiriake.htm

 
2回目 2000/10/14
・ニューサイNo.180 永松氏のレポートに刺激されて、ついにあの「魚野川水平歩道」に挑戦した。
過酷さ頂点に達する、ありえないようなコースだった。
宿では夕食時に、泊り客の前で我々が紹介されるほどだった。
https://tougehenoshoutai.sakura.ne.jp/photoguide/2000_10_suihei/suihei.htm

3回目 2020/11/22
・秋のクラブランで訪れた。宿の名前も、「切明園」から「雪あかり」に変わって、オーナーも変わっていた。
建物自体は昔のままで、宿のおもてなしと温かさはひとつも変わっていない。
本当にゆっくりできる秘境の宿だ。
https://tougehenoshoutai.sakura.ne.jp/photoguide/2020_11_zakogawa/zakogawa.htm



我々も、すっかり有名人になってしまった。予約するときも、名前を言えばわかってもらえるほどだ。
やはり、自転車で来たということが相当印象に残っているのだろう。
新しい経営者に変わってしまったが、本当に明るく、楽しく、そして素晴らしいおもてなしのご夫婦だ。

この日もゴールするなり、満面の笑顔で我々を出迎えてくれた。

さっそく広い館内の「説明ツアー」が始まる。食堂から露天風呂の入り方などを教わる。
露天風呂は、名前を書いて・・・、チェーンをかけて・・・、ライトを持って・・・はい、わかりました!


そして、そして、なんと驚いたことに、こんな愛くるしい猫ちゃんがいるではありませんか!
名前は「うーぽん」 いつも「うーうー」言ってるので、うーぽんだとか。
まさか館内に猫がいるなんて思ってもいなかったので、とにかく驚いた。

我が家も猫と暮らしているので、猫の扱いは任せておけと張り切るけれど、なかなか思うようにはいかない。
夕食時も、泊り客の各テーブルをまわっては、しっかり営業活動するお利口さん。
もう、メロメロの時間でしたよ、ホント。とにかく、カワイイ。


夕食はご自慢の、新鮮な地の物、旬の物でもてなしてくれる。
次から次と、懐石料理のように料理が運ばれてくる。特に揚げたての天婦羅は絶品だ。
何もかも、雰囲気まで含めて完璧なおもてなしだ。今回も大満足、参りました。本当にいい宿だ。


今宵はこれだけでは終わらなかった。
夕食が終わると、広いロビーの一角に置かれたピアノから、優しい旋律が流れてきた。
なんと、ピアノのソロ演奏の始まりだ。

実は今回宿に着いて驚いたのだが、ご夫婦だけでなく、若い男性と、年配の女性がスタッフとして加わっていた。
初めてお会いするので、臨時のスタッフかと思っていたら、なんと全員ファミリーだそうだ。

若い男性は、奥様の弟、そして奥様の母親が一緒に手伝っているそうだ。
そして、なんと全員が音楽一家という驚き! 皆さん何かしらの楽器を演奏するそうだ。

今宵は弟さんの素晴らしい演奏で、次々とリクエスト曲を奏でてくれる。
美しく、そして優しい見事な演奏だ。どんなジャンルでもそつなくこなす、素晴らしいピアニストだ。
本日最後の演奏に、スピッツをリクエストしたら、「楓」を歌いながら演奏してくれた。もう、感激!


夜も更けてくれば、いつもの場所で、我々だけの貸し切り二次会の始まりだ。
広いロビーを貸切って、大きなボウルに氷をたくさんいただいて語り合う。

他の泊り客はすでに部屋に戻ってしまって、我々だけのくつろぎの場となった。
日本の秘境、秋山郷の自然の中で、自転車談義に盛り上がる。なんて贅沢な時間なのだろう。


大きな薪ストーブがすぐ横に置いてあって、ご主人が薪を焚べに来た。
このご主人、なんでもこなすアウトドアの達人だ。
優しくて、逞しくて、頼りになる、自然をこよなく愛する男だ。

ご主人がやってくると、「うーぽん」もやってきて、我々の相手をしてくれる。
なんてかわいい猫ちゃんなんでしょう〜 と思ったら、どうやらお気に入りの椅子を奪い返したいみたい・・・

この広い館内を自由自在に歩き回って、お客さんの相手をして、なんて優秀なんでしょう。
最後は何とか膝の上に乗せることができたけど、すっかり「うーぽん」にやられっぱなしの夜でした。

 

距離: 54.4 km
所要時間: 7 時間 27分 45 秒
平均速度: 毎時 7.3 km
最小標高:  562 m
最大標高:  1581 m
累積標高(登り):  1363 m
累積標高(下り):  1027 m

(2024/11/4 走行)


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