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プランニング


今年も秋のクラブランの時期になってきた。
しかし、今年2025年は異常な「クマの出没」に、東日本の各地は震え上がった。

これまでたまに報道されるクマの被害に比べ、今年は尋常ではない数のニュースが連日飛び込んでくる。

参照 https://www.sankei.com/article/20251015-MBBQHPLU5ZKMHDQI3HJYQS7GYM/


特に東北地方は、民家周辺にまで被害が及んでいる。もう、災害級の出来事だ。

我々も、2025年7月に新潟県の高瀬温泉に泊まった時も、宿の周辺にクマが出たと聞いた。

これまで長いツーリング人生の中で、自分は一度もクマに出会ったことがない。

クマは人間を恐れ、会いたくても会えないと認識していた。クマに会うための本、なども昔あった。

しかし2025年、いやそれ以前からなのかもしれない、自然界の法則がすっかり変わってしまった。

人間を恐れないクマ、人を襲ってくるクマ、そして冬眠しないクマ・・・

もう、こうなると簡単に山の中に入っていくことができなくなる。

大好きな晩秋の峠越えや、林道走行などはあまりにもリスクが高い・・・怖い、本当に怖い。

クマ鈴なんて子供だまし。クマよけスプレーだ、ラジオを大音響で流せ、そして最後は爆竹だ・・・

いったい山の中で何をしに行くのかさっぱりわからなくなった。もう、ツーリングどころではない。

危険を避ける唯一の方法・・・行かないこと・・・
クマの少ないとこへ行くこと・・・これしかない。


プランニングに、隊長もかなり苦慮したことだろう。
メンバーの安全を考えれば、大好きな東北地方へ行くことは今回は無理だ。

上の地図でもわかるように、比較的クマ出没の少ない所へ行けば、それほど危険ではないようだ。
こうした情報を得て、隊長がプランニングしたのかどうか不明だが、今回のコースは長野県、伊那地方となった。

長野県もクマの被害者数は多いが、県内の地域によってかなり差がある。
まあ、どこへ行ってもリスクはそれなりにあることに変わりはないだろう。

2泊3日のコース
初日は、茅野駅から杖突峠、分杭峠を越えて鹿塩温泉へ。
二日目は、鹿塩温泉から天竜川経由で昼神温泉へ。
最後は、昼神温泉から清内路峠・大平峠・飯田峠を越えて飯田駅へゴールする。

5万図では右図の7枚に渡る魅力的なコースだ。


プランが決まれば、例によって地図センターに5万図を買いに行く。
手持ちの5万図は古すぎてこの際更新だ。

今日は女性の方が担当していて、先日「地図地理検定専門」を受験してきたことを伝えてみると、

「あっ、そうですか! ありがとうございます」
「私も、一度会場へお手伝いに行ったことがあります」

「皆さん、すっごいですよね〜」
「私なんか問題を見ても、何を言っているのか意味がさっぱりわかりませんでしたよ!」

「いや、ホントその通りでした。もう、マニアックな問題ばかりで・・・ホント難しかったです」
「あっ、これお持ちですか? よかったら次回のお勉強にお使いください」とボールペンをいただいた。

さあ、地図はこれでOK。あとは、切符の手配と天気次第だ。
切符の件は、あらためて最終日のレポートで詳細を記載したい。


2025年11月15(土)

茅野駅 〜 杖突峠 〜 高遠


今回の2泊3日のクラブラン、参加者は日によってメンバーが入れ替わる。
輪行組、カーサイ組が千葉・東京・埼玉・京都から集まり、1泊2日組、2泊3日組と色々だ。

「あずさ」の車窓からは見事な紅葉が山々を彩る。
今年の紅葉は評判通り素晴らしい!もう、これだけで気分は上々だ。

初日は茅野駅集合となった。千葉組と東京・埼玉組は列車を分けて茅野駅へ。そこへ京都からも集まってくる。
さらに、いつものようにカーサイでご夫妻が集まってきた。これでスタートは全員集合だ。


空気は冷たいが、予報通り見事な快晴だ。眩しいぐらいの青空が広がっている。

やはりこの季節のツーリングは最高だ。天気に恵まれて、文句なしのスタートとなった。


茅野駅からコンビニで食料調達後、杖突峠へ向かう。
杖突峠は「今井彬彦メモリアルラン」であまりにも有名な峠だ。

今日参加のメンバーもほとんど越えたことがある峠だ。
中には自分の「庭」のように、この峠を知り尽くしているメンバーもいる。

自分はこれまで1回しか越えたことがない。
それも1979/9だから、今から46年も前の話だ。

すっかり道路状況も変わってしまい、当時の記憶がほとんど残っていない。自分には新鮮な峠越えだ。


足慣らしには丁度いい勾配が続く。
天気が良くて、すぐに体も熱くなってくる。せっかく着たのに、すぐに一枚脱ぐことに。

快調に登っていると、何やら前方でメカトラの様子だ。フロントが落ちないのか?
どうやらディレイラーのボルトがゆるんだような、増し締めして直す・・・が
帰宅後聞いたところ、以下のような症状だった。

「サンプレFメカのデルリン本体に亀裂が入ってしまい、結局、始終インナーしか使用できませんでした。」とのこと。
その後快調に走っていたので、なんともなかったと思っていたけれど、実はやばかったんですね!


風もなく、降り注ぐ日差しが本当に気持ちいい。
交通量も少なく、車がいなくなれば素晴らしい秋景色をたっぷり楽しめる。今が丁度見頃のようだ。


スタートからいいペースだ。全員、結構気合が入っている。
実は今回のツーリング、初日が非常に厳しいことは全員がわかっている。

列車の都合で、茅野駅出発が10:30となってしまうため、日没までにゴールするために余裕がない。
杖突峠には、12:00着、分杭峠には16:15着と事前にシミュレーションしてある。

これより遅くなると、初日からいきなり闇夜のダウンヒルになってしまう。果たして結果は・・・ 


次第に眼下に街並みが広がってくる。
いい景色だ。どこまでも見渡せる大展望の広がりだ。

最小限の休憩で杖突峠のバス停まで登ってきた。素晴らしい、ほぼ予定通りだ。


峠の茶屋で小休止。そして茶屋からの展望は、とにかく絶景だ!
46年前も確かこんな大展望が広がっていたのを覚えているが、今日のほうが遥かにいい天気だ。

眼下に広がる諏訪湖から180°の大展望が大きく広がる。
うーん、見事だ。なかなかこんな大展望にはお目にかかれない!


詳しい山の解説板も設置してあるが、帰宅後「カシミール」で山岳展望を描いてみた。
できるだけ写真と同じアングルになるように調整して描いてみた。

こうして後から振り返ってみると、より一層思い出深い物になる。
わからなかった山の名前も、そして峠の位置もこれではっきりわかる。やはりすごいね、カシミール!


峠の茶屋から少々登ったところが、本当の「杖突峠」だ。
茶屋で少々長居していたので、予定より10分の遅れだ。まあ、ここまでは上出来だ。

ここからは高遠まで約500mの下り。下って13時〜14時まで昼食の予定だ。

防寒着を着て下りに入る。道幅が広く、奇麗な舗装を豪快に下る。
交通量が少なく、危険なところがほとんどない。そんなダウンヒル映像をお楽しみください。

●Youtube動画 杖突峠のダウンヒル https://youtu.be/HD5D1_j0VW8


素晴らしいダウンヒルだった。
条件の揃った下りはこれほど楽しいのかと、あらためて気づかされる。

流れる景色も、広がる紅葉もとにかく見事だ。久しぶりに思う存分下りを楽しむ事ができた。

さて、高遠へ下ってきたが、ちょうど昼時だ。果たしてこの大人数が一度に食事できるのか?


うまいこと見つけたお店がここ「華蔵」。どうやら「ローメン」が有名らしい。
壁には有名人のサインがたくさん飾ってある。果たして「ローメン」とは? 誰も知らないぞ・・・


伊那のローメンとは? AIに聞いてみました

長野県伊那市のソウルフード「ローメン」は、蒸した太めの中華麺にマトン(羊肉)とキャベツを加えた、独特の風味を持つご当地グルメです。

主な特徴とスタイル
2つのタイプ: 汁のあるラーメン状の「スープタイプ」と、スープのない「焼きそばタイプ」があります。

深蒸し麺: 麺をしっかり蒸し上げることで、独特の歯ごたえと香ばしさが生まれます。
テーブルクッキング: 基本の味付けは薄めで、卓上の酢、ソース、ごま油、ニンニク、七味などを使って、自分好みの味に仕上げるのが通の食べ方です。


絶品! とまでは言えないけれど、こうして旅先の名物をまた一つ味わえるのがツーリングの楽しみだ。
こうして 「ローメン」の味と名前は、思い出としてしっかり記憶に刻まれた。

 

高遠 〜 中沢峠 〜 分杭峠


いよいよ本日のメインイベントの始まりだ。ここからが今日の全てを決定すると言ってもいいぐらいだ。
時刻は14:00 ここまで完璧にシミュレーション通りだ。あまりの正確さに驚くばかり。

さて、ここから分杭峠まで700mの登り。

うまく行けば2時間で行けるが、トラブルがあれば2時間半はかかる。
分杭峠16:30が限界ギリギリの時間だ。果たして、どんな結果になるのだろう?

トンネルを抜け、高遠湖から美和湖へ向かう。
まだまだ日も高く、お腹も満たされて、秋景色の中快適な走りが続く。

あと30分余裕があれば、もう少し美和湖畔を楽しむことができたのだが、全く余裕がない。
それでもやはり今日は天気に恵まれて、とにかく気持ちがいい。

●Youtube動画 美和湖畔を快走 
https://youtu.be/A-6EHaNo0l4


14:43 いよいよ本格的な登りが始まった。しかし、あまりの周囲の美しさに緊張感も緩むほどだ。
これほど美しい紅葉は久しぶりだ。昨年はほとんど「色」がない紅葉だった。

「赤」「黄」「緑」「茶」「白」全てが見事な色彩を奏でている。
車やバイクで通り過ぎては、こんな美しい紅葉を肌で感じることはできないだろう。


時刻は15時を過ぎ、戸台への分岐を越えると、行きかう車もぐっと少なくなってきた。

そして気温も下がってきた。太陽が山の陰に隠れると、一気に体も冷えてくる。
それまでの明るい景色から、次第に厳しい晩秋の山の雰囲気が漂ってくる。


ここまでの経過を見ておこう。

スタートから昼食の高遠大橋までは、ほぼ完璧な行程を辿ってきた。
このまま何もなければ、予定通り、いや最後の下りで時間を短縮できて17:30より早くゴールできるかもしれない。

できれば17時に宿に着きたいところだが、全ては分杭峠までの登りにかかっている。
晩秋の日が傾いてからの、5分、10分は特に貴重な時間だ。ここでのトラブルが命取りにもなる。


登りはじめはまだまだ余裕だ。
勾配も緩く、お喋りしながら笑顔で登っていく。

車はほとんど来なくなった。もう、我々だけの峠道となっていた。


しだいにそんな余裕もなくなってくる。
徐々に勾配もきつくなり始め、先頭と後続の距離が離れてくる。

まだまだ峠までは遥かに遠い。何時に峠に到着できるのか・・・不安で一杯だ。


標高1110m付近 これまで頑張って乗車してきたが、あまりの急勾配に、ついに押すほどになってきた。
日頃健脚で、全員を引っ張っていくE氏もこの状態だ。

どれだけきついかがよくわかる。
押した方が楽だと言いながら、自分も後ろから撮影する。


息が白くなってきた。それほど気温が下がってきた証拠だ。
ガーミンのデータをあとで調べると、15:40の気温は4℃しかない。

これが晩秋の峠越えのリスクだ。
過去にも、この低温に体力を奪われて危なかったことを経験している。だから明るいうちに峠を越えたい。

広い道幅を使って、とんでもない蛇行をしながら登っていく。
皆が歩いていく中、ひとり異常なパワーで登っていくS氏。どういうこと?


そこに現れたのが、我らのサポートーカーだ!

今日は、余計な荷物を運んでもらいながら、我々を監視していてくれる。
何かトラブルがあれば、最強の支援をしてもらえる「神」の存在だ。

最初の峠、中沢峠までもう少しの所で・・・
先行していたサポートカーが、上から降りてきた・・・? あれ、どうしたのかな? 


16:10 先頭の二人が最初の峠「中沢峠」に到着。すでにこの時点で予定より20分の遅れだ。

まずい。後続がかなり離れてしまった・・・このままでは完全に日没だ。


次々と中沢峠まで登ってきた後続メンバー。しかし残りの二人がかなり遅れている。大丈夫か?

ここで全員集まるまで待つしかない。


その後現れたのは、なんと先ほど下って行ったサポートカーだ! 「あれ?誰か乗ってる!」
なんと助手席には満面の笑顔でK氏が乗っているじゃないですか! なーるほど! そういうことですか!

かなり時間が厳しくなってきたので、自己判断で勇気ある「回収」というわけだ。
そのまま我々の前を通り過ぎて行き、分杭峠への道へ消えていった。


中沢峠から分杭峠まで残り100mの登り。最後まで厳しい登りが続く。
あと少し、もう少しとガーミンを眺めながら最後の力をふり絞る。

16:28 クタクタになりながら分杭峠に到着。
なかなか手応えのある厳しい峠だった。

出迎えてくれたのは、その後「回収」された隊長だ。
しっかりビデオを構えて登ってくる姿を撮影している。結局、2名「回収」されて全員峠に到着だ。

今回、風邪気味で「体調」が冴えない「隊長」も、苦渋の決断だっただろう。
しかし正しい決断だった。予定より13分の遅れだが、これは下りで回復可能な範囲だ。


初めて訪れた分杭峠。
いつか越えたいと思い続けてきた。やっと念願がかなった。


分杭峠

分杭峠は、長野県伊那市と大鹿村(おおしかむら)の境界に位置する標高1,424メートルの峠です。
静岡県浜松市の秋葉(あきは)神社へ向かう街道として古くから利用され、秋葉街道(=現・国道152号)の重要な通過点でした。
名前は、かつて高遠藩が他領との境界に杭を立てたことに由来し、現在でもその象徴となる石碑が存在します。
https://tabiiro.jp/likes/articles/view/1727/


パワースポットとして有名な「分杭峠」。
辛かった登りだが、最後は不思議な力によって登りきれたのかもしれない。


そろそろ日が沈みそうな時間になってきた。さすがにこの時間の標高1400mは寒い。

ガーミンのデータによれば、この時の気温は3℃しかない。日が落ちればマイナスの世界だろう。


美しい夕焼けが広がる。しかし、のんびりはしていられない。

休憩もそこそこに、分杭峠からの絶景をしっかり記憶に刻んで下りに入る。

分杭峠 〜 鹿塩温泉


ここからは、一気に700m下るスーパーダウンヒルだ。
とにかく無理せず、安全運転で下りきることを確認する。ここでのトラブルは致命的だ。

しっかり防寒着を着こんで下るが、すぐに薄暗くなり、気温もさらに低下してくる。
山の日暮れはあっという間だ。5分、10分ですっかり暗くなってくる。

下って10分もしないうちにライトが必要になってきた。
こりゃ今回もナイトラン間違いなし・・・と覚悟する。

ナイトラン好きのこのクラブラン。もう参加者は常識と心得ているから、準備も万全だ。
自分は今回、VOLT800とダイソーのLEDライトの2灯式を用意してきた。

VOLT800だけでも十分すぎる明るさだが、ダイソーのライトを試してみたかった。
結果、とんでもない明るさで、分杭峠の下りを「満喫」することができた。


とにかく明るいダウンヒルだった。路面の全てを昼間のような明るさで確認できる。
先行車の先まで明るく照らせるから、二人分照らしている感じだ。

そんな明るく、スリリングなダウンヒルの様子をご覧ください。

●Youtube動画 分杭峠のダウンヒル 
https://youtu.be/SD67aM-6g1E


こんな暗い中を、かなりのスピードで下ることができる。
やはり明るいライトのおかげだ。昔では考えられなかったことだ。

路面も安定していて道幅もまずまず。対向車はゼロ。
かなり寒かったが、実に楽しい下りだ。


それにしても素晴らしいダウンヒルだった。
ダウンヒルのランキングとしては、自分の経験の中でも上位に入ると言えるだろう。

ナイトランでこれほど楽しめるダウンヒルもなかなかない。とにかく、スカッとする下りだった。
17:31 鹿塩温泉に到着。なんと、予定通りの到着だ。もう、お見事としか言いようがない。

宿に着くと、カーサイで来た別行動のメンバーが出迎えてくれた。
事前のシミュレーションの精度の高さ、そして途中の判断、ダウンヒルの技術。もう、完璧の一日だった。


いやぁ、今日も語りたいことは山ほどある。

予定通りにゴールできて、もう参加者全員最高潮の喜びだ。


最高の天気に恵まれ、最高の紅葉を満喫できた。
スタートは遅かったが、3つの峠を越えて63.4kmも走った。

ちょっとした回収劇はあったが、こうして終わればいい思い出だ。
クマのことなどすっかり忘れるほど、明るく、楽しく、そして最後は充実したナイトランの初日だった。


尽きない話に二次会も盛り上がる。

持ってきたおつまみを広げて、賑やかに余韻を楽しむ。
秋のツーリングはこれだから楽しい。景色も料理も、そして温泉もすべて最高だ。

忙しい一日だった。ずっと予定時間を意識して走った一日だった。
明日は打って変わって、余裕たっぷりの一日だ。かなりのんびりできるだろう。


 
距離: 63.4 km
所要時間: 7 時間 16 分 28 秒
平均速度: 毎時 8.7 km
最小標高: 707 m
最大標高: 1416 m
累積標高(登り): 1242 m
累積標高(下り): 1294 m

(2025/11/15 走行)


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