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2025年11月16(日)

鹿塩温泉 〜 県道松川大鹿線


早朝、部屋の窓を開けると、塩川の流れが目の前に広がる。
周囲は美しい紅葉が広がり、谷あいの素朴な風景に包まれている。

南信州の山奥にある秘境、大鹿村は、「日本で最も美しい村」連合に加盟している。
この地は、自然と人間の営みが長い年月をかけてつくりあげた美しい日本を残す場所だ。


NPO法人「日本で最も美しい村」連合

NPO法人「日本で最も美しい村」連合は、2005年に7つの町村からスタートしました。 当時は、いわゆる平成の大合併の時期で市町村合併が促進され、小さくても素晴らしい地域資源や美しい景観を持つ村の存続が難しくなってきた時期でした。私たちは、フランスの素朴な美しい村を厳選し紹介する「フランスの最も美しい村」運動に範をとり、失ったら二度と取り戻せない日本の農山漁村の景観・文化を守りつつ、最も美しい村としての自立を目指す運動をはじめました。

https://utsukushii-mura.jp/


昨日は時間に追われ、最後は寒さに震えながらナイトランで宿に着いた。
朝風呂に入り、湯船に浸かると、昨日の緊張感がまるで嘘だったかのような心地よさだ。

静かに朝食をいただく。
テレビの天気予報は、今日も日本中晴れの予報だ。

宿の片隅には郷土資料が並んだ文庫が用意されている。
時間があればちょっと読んでみたい本がいくつもある。

そして壁には、宿泊客が釣り上げた魚拓がいくつも貼られている。


壁に自転車の写真が一枚飾られている。雰囲気のいいランドナーだ。
特徴あるランドナーであれば、我々が見ればオーナーまでわかりそうだが、残念ながら誰なのかわからない。

ひょっとして、と友人にSNSで確認したが違うという。はて? どなたのランドナーだろうか?
しかし、こうして自転車の写真を飾っていただける宿、いいですね。

私と隊長の写真も、ある秘境の宿で飾っていただいているけれど、嬉しいものです。
自分も真似して同じアングルで撮影してみた。やはり、温泉宿にはランドナーがよく似合う。


暖かな日差しの中、全員で記念撮影だ。

昨日大活躍のカーサイ組のS夫妻は、隣の宿に宿泊したため、残念ながら一緒に撮影できなかった。
我々の出発の様子を部屋の窓から眺めていたようだ。S夫妻とはここでお別れすることになった。


宿の女将に見送られて、眩しい朝日の中を走りだす。

なんて清々しい朝なのだろう。もう、今日一日が約束されたようなスタートだ。


二日目は余裕だ。

多少の登り下りはあるが、昨日に比べたら距離も標高差も楽勝だ。
まぁ、適当に走っていれば早い時間にゴールできるだろうと、緊張感もなく走りだす。

宿から鹿塩川に出る。緩い下りがしばらく続く。
緩やかな下りが終わると「大鹿トンネル」が現れる。ここから「県道松川大鹿線」が始まる。

●Youtube動画 鹿塩川沿いの下り https://youtu.be/k0SczNyzIUI

県道松川大鹿線 〜 天竜川


宿から130m程下ると小渋湖が現れ、松除橋を分岐する。
しかしいきなり「全面通行止」の大きな看板が待ち構えていた・・・えっ?

一瞬ドキっとしたが、よく見てみると・・・
「予告」となっている。なーーんだ、まだ先の話でした!
通行止めの情報を事前に調べてきたが、ここの予告は見逃していたのでかなり驚いた。


松除橋の先に小さなトンネルがすぐ見える。
この橋からの眺めが素晴らしく、しばし皆で撮影大会だ。

8台のランドナーをきれいに並べ、「ちょっとどいて!」と邪魔な被写体を追い払う。
おかげで実に雰囲気のいい作品が出来上がった。トンネルの佇まいが実にいい。

今日はたっぷり時間があるから、こうしてのんびりと秋景色を楽しむことができる。


ひとりずつトンネルを通過する姿を撮影する。こんなことができるのも、時間に余裕があるからだ。

やっぱり我々のツーリングは、こうでなくっちゃね。


トンネルを抜けると、いきなり本格的な山道が始まる。
今日のメインは、ここからピークまでの約300mの登りだ。

予想では1時間で登れるだろうと計算する。
バイクが一台通り過ぎて行ったが、それ以外は全く通る車がない。


貸し切りの山道が始まった。
くねくねと、右に左に曲がりながら細い山道を登っていく。

車もすれ違うのがやっとというぐらいの道幅だ。これでは通行する車も少ないだろう。
4.8kmで300mの登り。平均勾配6.25%となると、場所によってはかなりきつい登りがある。


標高が高くなるにつれて、どんどん紅葉が美しくなっていく。
前も後ろも、明るい日差しを浴びて、見事な背景に包まれる。

厳しい登りも、この美しさに救われる。
自分の28*34のスーパー低レシオでやっと登れるほどきつい登りだ。キヤ比1以下で無ければ無理だろう。


適度な勾配であれば、降りることなく乗車し続けられる。
一度降りてしまうと、なかなか再び乗車するタイミングが難しい。

やはり降りずに済むギヤレシオを装備していると、結果疲労も少なく、時間短縮になる。
自分もギヤ比1以下にしてからは、押す機会がかなり減った。メリットの方が多かったと感じている。


標高830m付近。ピークまであと100mとなったが、ここのヘアピンカーブがメチャクチャきつい。
28*34のギヤでやっとカーブをクリアできたが、歩くのさえきついカーブだ。

上から下を覗き込むと、怖いほどの落差だ。こんな道作っちゃだめでしょう!
「ガンバレー!」と皆で声援を送る。

●Youtube動画 県道松川大鹿線の登り https://youtu.be/QNKKUeA9JSA


いつでもどこでも絶好調のK氏、こんな坂もスイスイと登っていく。
なんとか付いていこうと必死に頑張るが、すぐに置いて行かれる。ムリ。

まさかこんなにきついとは思っていなかったので、皆さんヘロヘロになってピークに到着。


ピークには民家があって、出迎えてくれたのは、吠えまくる犬たちだった。
やかましい程の鳴き声で、我々を威嚇しているのか、歓迎しているのか、大騒ぎだ!

あまりにうるさいので、早々と退散して下りに入る。


下った先の集落には、ボロボロのバスが「展示?」されていた。

使われなくなったバスがそのまま放置されているようだ。何か理由があるのだろうか?


グーグルストリートビューの画像(2023/10撮影)を見てみた。
バスの停車位置が違うし「上峠」というバス停の表示が見える。

地図を見ると「峠」の地名が確認できる。峠の上の位置なので「上峠」というバス停なのかもしれない。
詳細はわからないが、偶然にも「峠」に一つ出会えていい思い出になった。


「上峠」のバス停から一旦下る。こんな秘境の中に、民家が数軒現れる。

どうやって生活しているのだろうか? 考えただけでもその苦労が伝わってくる。


二つ目の小さなピークに向かって緩く登っていく。


50m程登り返すと、また小さな集落が現れた。

「かじや」というバス停があり、よく見ると「運行終了」となっている。
「チョイソコまつかわをご利用ください」と書かれている。

「チョイソコまつかわ」って何だ?

調べてみると、「会員登録制の、利用者の予約状況に応じて運行経路や運行時間を設定して乗り合いで運行する、町の公共交通です。『デマンド交通』、『デマンド型乗り合いバス』と呼ばれることもあります。」とある。

なるほど、定時バスではなく、必要な時に利用できる交通手段のようだ。
それにしても、本当に大変な所に暮らしていることがよくわかる。


小さな集落を通り抜けると、本格的なダウンヒルが始まる。
ここから天竜川まで400m程下ることができる。

ここからのダウンヒルが、テクニカルで豪快な下りを楽しめる。
見ていても手に汗握るダウンヒルの様子をご覧ください。

●Youtube動画 県道松川大鹿線のダウンヒル https://youtu.be/uNtMr5EhydY


パット開けた大展望。思わず急停車してしまうほどだ。
道幅が狭く、勾配もきついこの下りは、全神経を集中して下らないと危険だ。

対向車がもし現れたらかなり危険だ。
ブラインドコーナーでは、しっかり減速する必要がある。

幸運にも対向車は一台も現れなかった。
おかげで、全員このダウンヒルを十分楽しむことができた。

天竜川 〜 昼神温泉


時刻は12:00 天竜川の入口まで全員無事に降りてきた。

ここで本日合流予定の、もう一人のカーサイメンバーに連絡をとる。
市田駅に集合と決めて、駅へ向かう。

ここで昨日宿で合流したカーサイメンバーとお別れだ。
一人減って一人合流することになる。

しかし市田駅へ向かったが、誰もいない・・・そこに現れたのが地元のサイクリスト。
トイレを借りに来たが、ここの駅は無人でトイレも閉鎖されている。

色々会話してみると、昨日泊まった鹿塩温泉の常連で、仲間のS夫妻の泊まった「山塩館」の親戚らしい。
へぇ〜奇遇ですねぇ〜なんて話しながら、自転車話で盛り上がる。


「駅で会いましょう」と言ったはずなのに、もう一人のメンバーはなぜか橋の真ん中で待っていた。
まあとりあえず無事に合流できてよかった。

まずはコンビニで食料を調達して、どこかランチポイントまで移動だ。


厳しい秘境の山の中から、眩しい太陽が輝く天竜川に出てきた。

あまりの変化に、本日の第二幕が始まったという感じだ。


天竜川に沿ったこの「自転車道」。
2011年10月、自分は岡谷駅から延々南下して飯田まで走ったことがある。

その時は一日中雨に降られ、最悪のコンディションの中を我慢して走った。
なんとかもう一度天気のいい日に走りたいと思っていたので、絶好の機会がやってきた。

一人で走っていると、会話もなく、ただひたすら単調な走りになってしまうが、今日は違う。
これだけ人数がいれば実に楽しい。開放感抜群の景色の中、フラットな土手道は実に楽しい。


どこかランチポイントに適当な所はないか・・・東屋があれば最高なのだが・・・
しかし川沿いの道ではなかなか幸運には恵まれない。

先へ先へと走っていくと、とうとう行き止まりまで来てしまった。
どうせ行き止まりだし、誰も来ないし、ここで昼食に決定!

●Youtube動画 天竜川自転車道 https://youtu.be/dHnYDM9Y7l8


何やら大規模な工事をしている様子だ。巨大な構造物があまりにこの景観を台無しにしている。
橋かと思ったら、どうやらリニア関係の工事のようだ。

地理的な認識がなかったので、「そうか、ここを通るのか!」と初めて気づいた。
そう気が付くと、あらためて「リニア新幹線」のとてつもないプロジェクトの凄さを痛感する。

帰宅後、飯田市のホームページを調べたらこんな資料があった。
https://www.city.iida.lg.jp/uploaded/attachment/74206.pdf


いつものように食材をいろいろと取り揃えて、各自好きなメニューを楽しむ。
今回自分は定番のおでんにしてみた。

寒い時期には欠かせない一品だ。このおつゆがうまい!
天気も良く、風もないので最高に気持ちのいいひと時だ。時間があるので、本当にのんびりできる。


本当にリニアは完成するのか? 本当に必要なのか? 生きている間に乗れるのか? 輪行できるのか? 

なんて、疑問だらけのリニアの工事現場を眺めながら、ランチタイムを満喫した。


昼食後もまだまだ自転車道は続く。

邪魔するものは何もなく、視界を遮る物も何もない。とにかく気持ちのいい天竜川自転車道だ。


どこまでもずっと走っていたくなるほど快適だ。

これで宿まで走れたら文句なしにご機嫌のコースなのだが、そうはいかない・・・


再び行き止まりに遭遇。一本道がずっと続いているわけではないのが残念なところ。


まあそれでも、天竜川を眺めながら気楽に走れるのだから文句はない。

車道に合流して、ついに天竜川と別れることになる。


今日は楽勝! という認識でいたので、後半の登り返しはほとんど気にしていなかった。
ところが市街地に入ってから、予想外の登りに全員完全にギブアップとなった。

まずたまげたのは、市街地の車の多さだ! 都会のラッシュ時間を思わせるほどの交通量だ。
あまりに車が多すぎて、車道を走れないほどだ。とにかく驚いた。

そして「伊那八幡駅」を過ぎてからの登りが、信じられないような勾配だった。
このツーリングで一番きつい登りだったかもしれない。


乗ることはまず不可能。
押したってきついぐらいの車道だ。ダメでしょう、こんな道作ったら!


登り切ってもまだまだ難所は続く。
今度は延々まっすぐな車道を、正面から直射日光を浴びながらの登りだ。

眩しすぎて何も見えない中、車に怯えながら終わりのない坂を登っていく。いやぁ、ここもひどかった。
もうーいったいなんなんだ! と、最後のコースに不満爆発だ!


16:15 ようやく交通量が少なくなって、やっとフィナーレの雰囲気が近づいてきた。

もう、大きな登りもない。あとはのんびりと宿に向かってお散歩気分だ。


16:37 昼神温泉に入ってきた。いい時間に到着だ。今日も完璧な走りだった。

まず向かったのはコンビニ。二次会用にたっぷりと仕入れる。


買い込んだ宴会道具は、こんな大きなリュックに全部いれてもらう。総重量5kgはありそう!
もう、宿は目の前なので頑張ってくださいね〜

だいぶ薄暗くなったけれど、今日はナイトランなしのゴールとなった。(当然です)


宿の方が出てきてくれて、自転車置き場を確保してくれる。

自転車で来るとは知らなかったようで、この圧巻の眺めにしばし驚いていた。
そうでしょう、ランドナーが横に8台並ぶと迫力満点ですね!


豪華で立派なホテルだ。こんな格好のおじさんたちでは申し訳ないほど、おしゃれな雰囲気だ。
まずは館内説明の始まりだ。いろいろと細かく丁寧に説明してくれる。

そして贅沢すぎるほどの部屋が用意されていた。二次会用の宴会部屋までついている!
さっそく先ほどファミマで仕入れた、限定ビールで乾杯だ。


今日も楽しい一日だった。ノントラブルで、まったく問題ない一日に笑顔も溢れる。

二日目はこれぐらいで丁度いい。昨日の疲れを回復するには程よいコース設定だった。


豪華な料理が次々提供される。
貸し切り部屋で、これだけ条件が揃えばいくらでも飲んでしまう。

もうお腹いっぱいでギブアップだ。とにかく食べた。飲んだ。
そして部屋に戻って二次会、といきたいところだが、さすがに食いすぎて元気がない。

もう十分すぎる一日だった。
さて、最大の問題は明日だ! 果たして無事に帰れるのか?

詳細は三日目で詳しく報告しましょう。乞うご期待!

距離: 54.9 km
所要時間: 7 時間 51 分 30 秒
平均速度: 毎時 7.0 km
最小標高: 431 m
最大標高: 936 m
累積標高(登り): 747 m
累積標高(下り): 883 m

(2025/11/16 走行)


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