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【問題その1】最終日(3日目)のコースプラン


今回のクラブラン、最終日のコースプランは悩みに悩んだ。当初の計画は以下のようなコースだった。
昼神温泉から、清内路峠→大平峠→飯田峠→飯田駅へ至る、晩秋の峠路としてはまさにゴールデンコースだ。
清内路峠は越えたことがなく、旧道のトンネルが実に魅力的だ。

大平峠、飯田峠は一度越えたことがあるが、実に雰囲気のいい峠である。
しかし、真面目にプロフィールマップを作ってみると、一筋縄では行かないことがわかってきた。
距離は短いが、獲得標高が1265mもある。さらにゴールが15時という制限がある。

果たしてこれを走り切れるか、ゴールできるか、詳細なシミュレーションを繰り返した。
これまでのクラブランのデータを駆使して、登り、下りの時間を予想する。
最終日ということで、疲れ具合も加味しないといけない・・・

逆算すると、スタートを8:30、ノントラブル、ノーパンク、登りの遅れなし、という条件が必要だ。
飯田駅15:00着というのも、帰りの列車の都合上、これがぎりぎりの時間だ。
安全のためには、さらに30分早くスタートする必要がある。

本当に、最後の日にこんな予定でいいのか? そもそも無理なのでは? と意見が出る。
飯田駅からの帰りの路線を変更しようとか、そもそものコースを変更しようとか、答えがでない。


【問題その2】通行規制情報


名案が浮かばず悩んでいるときに、決定的な事件が起きた。
ある著名なサイクリストの、つい先日ほぼ同じコースを走ったレポートを読んだところ・・・
なんと、飯田市街から飯田峠へ行く途中で、工事中で通行止めになったという。

我々とは逆コースになるが、我々にとっては飯田駅へ下る最後の地点。
こんなところで通行止めに出くわしたら、完全にアウトだ。戻ることさえ厳しい。
あまりの衝撃に、その事実を検証するためにかなり時間を要することになった。

さっそくホームページで調べると、確かに以下の通行規制を見つけた。
「杉の木沢橋」とはいったいどこだ? 「全長7m以上 車両通行止め」とは? 自転車はOKなのか? 


まずは正確な通行止めの箇所を地図上に特定しないと始まらない。
しかし、「杉の木沢橋」で検索しても何も情報は出てこない。

小さな沢を渡る橋だろう、という予想から、グーグルストリートビューで橋を探す・・・
これがとても大変な作業だ。橋の名前が画像に写っていればいいが、不明な場合も多い・・・
それでも頑張って探してやっと見つけた! と思ったら似たよう橋でがっかり・・・結局見つからず。


そんな時に、どこかの地図で詳細な地名を発見することができた。
「杉の木沢橋」としっかり表示されている。「ここだ!」 やっと見つけた工事現場!


全体図に書き込んでみると、飯田峠からかなり下った地点だということがわかった。
ここまで下って、「ダメダメ!」おじさんに出会ってしまったら・・・どうする?


プロフィールマップを作ってみると、飯田峠から距離4km、標高200m程下った地点だ。
ここでUターンしろ、ということになったらいったいどうなるかは簡単に想像できる。
何が何でもこの工事個所の様子をもっと調べないことには、このコースは走れない。


【問題その3】問い合わせ


場所が特定できた。
我々にとっては、致命的な場所だ。ここを通過しなければ、「命」に関わるほど重要な場所だ。
もし晩秋の峠路に取り残されたら、もはや下界に戻る手段はない。

「どうせ、自転車なら通行できるよ」とか「現地で確認すればいいよ」なんて呑気な事では大変なリスクだ。
確実に通過できる保証をえなければ、このコースを行くべきではない。となれば、担当者に聞くしかない。
さっそく、問い合わせフォームがあったので質問してみた。


はたして、ちゃんと回答が来るだろうか? と心配していたが、翌日すぐに電話がかかってきた。
女性の担当者が丁寧に説明してくれた。工事業者に確認したということで、確実な情報だ。
結論としては、工事個所は「杉の木沢橋」ではなく「桐の木沢橋」ということだ。(上の写真は正しかった)

「杉の木沢橋」は規制区間の開始地点ということだ。
平日の昼休みだけは通行可能だが、それ以外は自転車も無理とのこと。
我々が通過する当日は月曜日だが、この時間までに通過することは不可能だ。


こうして結論が出た。全体図で把握すると以下のようになる。
昼神温泉→清内路峠→大平峠→飯田峠→飯田駅 というコースは不可能だ。

コースを変更するとなると、大平峠→鳩打峠→飯田駅というコースしかない。
先に情報を得たサイクリストも、結局鳩打峠経由にコース変更している。

【問題その4】鳩打峠にコース変更


通行止めを確認できて忙しくなった。今度はコースを変更してやり直しだ。
さっそく鳩打峠経由のシミュレーションを行ってみた。
結果、鳩打峠経由のほうが距離は長くなるが、獲得標高は60m程少なくなる。

時間的には飯田峠経由とはほぼ同じ予想なのだが、実は路面状況が全く違う・・・
自転車で越えた情報は多いので、通行できることは間違いないが、問題は路面状況だ。
Youtubeに鳩打峠を車で走った動画があったので見てみると・・・なかなか厳しい道のりだ・・・かなりのショック


今度は鳩打峠の情報集めだ。やはり自転車で越えた情報が欲しい。
となればやはりニューサイを探すしかない。

見つけたのはこの3冊(NC256、NC420、NC439) 
せっかくの情報だが、あまりにも古かったり、季節が違いすぎて参考にならない。
やはり最近走ったサイクリストのブログ情報が一番役に立つ。

こうして様々な苦労を重ねて、暫定的な結論としては、鳩打峠経由のコースに変更することになった。
しかしそれでも不安は尽きず、いっそのこと南木曾へ抜けるコースに変更しようという案もくすぶっていた。


【問題その5】切符の手配

「特急 伊那路4号」 セミコンパートメント座席


最終日のコースがなかなか確定できない。
色々なプランも提案されるが、とにかく切符を手配しないとならない。
大人数での輪行なので、確実に指定席を確保しないと帰りの楽しみが半減してしまう。

まず飯田駅からは、飯田線で豊橋駅まで「特急 伊那路4号」に乗車することにした。
この列車の最大の魅力が「セミコンパートメント座席」があることだ。
こんな座席があるとは全く知らなかったが、調べていくうちに大発見してしまった!

写真でお分かりのように、一般座席とは完全に隔離された個室のようになっている。
我々は7名の輪行なので、もうこれ以上の車両はないだろうというぐらいの喜びだ!
乗車時間も2時間半! 完璧な「宴会列車」になることは間違いない。さらに飯田駅が始発ときている!

そして豊橋からは、京都へ向かう1人を除いて6名になる。
となれば3列シートを回転させて再び「宴会列車」だ!
この切符を手に入れるにはどうしたらいい? ジパング倶楽部の割引も使いたいし・・・


「特急 伊那路4号」と「新幹線」を確保するには、各自がみどりの窓口に行っていたのでは不可能だ。
特に「特急 伊那路4号」の「セミコンパートメント座席」はネットで確保できるが、対面のほうが確実。
ということで、自分が新横浜駅のみどりの窓口(JR東海)に出向いて、2つの列車の指定席を確保してきた。

残念ながら、大人の休日倶楽部、ジパング倶楽部の割引は利用できなかった。今回は我慢するしかない。
確保した切符は大変な枚数だ。
日頃みどりの窓口が混んでると文句を言っていた自分だが、今日はかなり時間がかかってしまった。

特急伊那路の特急券には(コ)と印字されている。これがあの「宴会席」を意味している。
さあ、とりあえずこれで準備は整った。
最終日は、何が何でも飯田駅に戻ってこなければならない。絶対に「特急 伊那路4号」に乗りたい!


2025年11月17(月)

昼神温泉 〜 梅ヶ久保神社


上記【問題その1】から【問題その5】まで大変な努力をして迎えた最終日となった。
結論に至らず当日の朝を迎えたが、全員朝からのんびりムードだ。緊張感がまるでない・・・
実は、昨晩あらためて協議した結果、コースを大幅に変更しようということになった。

鳩打峠経由のプランも中止、清内路峠の往復案、南木曾へ抜ける案も不採用になった。
せっかく手配した「特急 伊那路4号」に乗るために、ポタリングして飯田駅へ直行しようということに・・・
ツーリングも三日目となると疲労もたまり、もはや気合も入らない。

さらにこの二日間で十分すぎるほど満足した。今日のコースは魅力的だが、あまりにリスクが高すぎる。
最後の最後に大失態を犯しては、せっかくのクラブランが台無しになる。

全員の意見が一致して、今回は無理せず安全策をとることになった。
おかげで朝のコーヒーをゆっくり楽しむほど、ホテルでのんびりすることができた。


すっかりゆっくりしてしまって、出発は10時を過ぎてしまったが、それでも余裕だ。
立派なホテルの前に整列して記念撮影だ。


昨夜お世話になったホテルの方々にお見送りされて出発する。
料理もおもてなしも、なかなか素晴らしいホテルであった。


さて、まったく予想外の一日になった。
これまで考えてきたプランはことごとく役に立たず、急遽地図を広げてコースを考える。

昨日最後に痛い目にあった、あの交通量の多い道など二度と走りたくない。
なんとか裏道をつないで、静かなところでのんびりランチタイムを楽しみたい、とコースを考える。


まずは昨日のファミマで昼食の食材を仕入れてから走りだす。今日は5万図とガーミンが大活躍だ。
5万図だけでは読み切れない細い道までガーミンは表示してくれるから、小さな分岐も安心だ。


今日は「サイクルオリエンテーリング」風の走りになってきた。
目標があるわけではないので、小さな分岐地点ではその都度停まってルートを確認していく。
良さそうな道があればそちらへ向かい、どこかいい場所はないかと集落の間を抜けていく。


のんびりしたポタリングを楽しんでいると、雰囲気のいい町並みが現れた。
なんとなく昔の街道を偲ばせる雰囲気が漂ってくる。


その先にこんな標識があった。素敵なイラストとともに「中馬街道」と書いてある。
「中馬街道」というのは初めて聞く名前だ。帰宅したらちょっと調べてみよう。


中馬街道


http://imamura.yanoss.jp/kyoudoshi/05_koutsuu/05_036chyumakaidou.html

峠ばかりが気になってしまうが、こうした昔の「中馬街道」を辿る旅、なんていうのもいいかもしれない。



土地勘がないのでどこへ向かえばいいのかさっぱりわからない。
登りたくはないが、ランチポイントを探して意外と苦労する。
しかし、眺めがいい。標高も700mあるから当然だ。


走っていると、道路脇にリンゴ畑が多くなってきた。思わず立ち止まって写真を撮りたくなるほどだ。
すぐにでもかぶりつきたくなるような、美味しそうなリンゴが目の前にぶら下がっている。

飯田市の市木(シンボル) 飯田市を象徴する木はりんごです

りんご並木は飯田のシンボルであり、果樹農家が多い南信州においてもりんご栽培は基幹産業の1つです。
農園やりんご並木にたわわに実ったりんごは、飯田の土地柄を物語る景観といえましょう。
近年では、地区の農家らが中京圏を中心に催事場で直接販売もおこなっています。

https://www.city.iida.lg.jp/soshiki/160/iidashiki2.html



うまいこと無人の販売所があった。となれば、当然買うしかないでしょう!
「シナノスイート 1袋 200円」 あとで皆でいただきましょう!


シナノスイートとは AIに聞いてみました

シナノスイートは、長野県が「ふじ」と「つがる」を交配して育成した人気のリンゴ品種で、「信州りんご三兄弟」の次男にあたります。特徴は、甘みが強く酸味が少ないこと、果汁が豊富でシャキシャキした食感、鮮やかな赤色で、10月中旬頃に収穫され、甘いリンゴが好きな方や子供から大人まで幅広く人気です。



展望のいい場所を探して、登る、登る・・・
隊長、今日はポタリングだって聞いたんですけど・・・どういうことでしょうか?
ぐんぐん高度をあげると、大展望が眼下に広がってきた。すごい! なんだか空中散歩している雰囲気だ。


ランチタイムのポイント探しに妥協しない我々。
どこかに絶好の東屋はないかと、地図を眺め、ガーミンを操作し、スマホを駆使する。
ようやく目標を定めてさらに登っていくと、なんとこんな素晴らしい紅葉が待ち構えていた。


迷走して辿り着いた先は、「梅ヶ久保神社」の東屋だ。
ちゃんと全員が座れるだけのベンチが用意されている。
まさか、こんなお山の上に絶好のランチポイントがあるとは・・・東屋をかぎ分ける能力はさすがである。

さっそく「シナノスイート」をいただく。ちゃんとナイフも常備しているから、手際よくリンゴを剥いてくれる。
「う、うまい!」なんだこの甘みは! 文句なしの絶品でした!


穏やかな一日になった。
当初の予定通り走っていたら、今頃いったいどうなっていただろう・・・

きっと必死の形相で登って、時間に追われ、ヘロヘロ状態だっただろう。
これでよかった。大正解だ。もう無理しちゃダメでしょう。


食後はコーヒー道具を持って、もう一段高台に登る。
この周辺は梅ケ久保公園になっていて、笠松山へのトレッキングコースの起点になっている。
鳥居をくぐった辺りの広場からは、飯田市街を眼下に、正面に赤石山脈の大展望が広がる。


伊那谷を挟んで視界を埋め尽くす、南アルプス、赤石山脈の連山。

あまりにも峰々が連なっていて、山の名前もさっぱりわからない。

大好きな「しらびそ峠」はどの辺りだろうと眺めてもさっぱりわからない。

そんな時は、帰宅後カシミールの出番だ。


気が付けば、もう1時間半もここにいる。それだけ心地いい秘密の展望台だ。
さあ、そろそろフィナーレとしましょうか!

最後に全員の愛車を撮影しておいた。今回のツーリングに参加したメンバー全員の愛車だ。
今回も、初日にサポートカーが大活躍しくれた。車が無ければ大変な結末になっていただろう。

梅ヶ久保神社 〜 飯田駅


最後は飯田駅に向かって豪快に下る。こんな大展望のダウンヒルは初めてだ。


とにかく視界が広い。
伊那谷の景観は、こうした高い所から眺めないとその素晴らしさがわからないだろう。


時間は十分早い。まだまだしばらくポタリングしていても大丈夫だ。
最後はペダルを漕がずに駅までいけそうなぐらい快適な下りだった。

三日間の伊那谷ツーリング。
どうなるかと心配していたが、最後はこんなご機嫌でゴールを迎えることができた。


14:25 真っ赤な駅舎の飯田駅にゴール。
ずいぶん派手な装飾だと思ったら、リンゴをイメージしたデザインだそうだ。


「特急 伊那路4号」まで1時間半もある。
のんびりと輪行し、近くのコンビニで最後のイベントの準備をする。
ここでカーサイメンバーの一人とお別れだ。そしていよいよ7名で「宴会列車」が始まる。


一つ心配だったのは、7つの輪行袋を置く場所だった。
この「セミコンパートメント座席」には、輪行袋を置けるスペースがない。
7台ともなるとかなり場所を占領してしまう。

しかしそこは始発駅のメリットだ。発車するまで十分な時間があったので、あちこちに分散して解決!
さあ、何も心配することなく我々の為の「特別宴会列車」が発車した。

あとは延々、飲んで食って、食って飲んで、笑って喋っての繰り返しだ。
ご覧のような状態で、もう解説不要でしょう。


乗客も少ないうえに、通路デッキを挟んだ「個室」なので、大きな声でも全く迷惑にならない。
こうなるともうどうしもなくご機嫌なおじさんたち。次々出てくる珍味の数々・・・もう苦しいです。

時々目の前を通り過ぎる車掌さんも、この呑兵衛集団には何も言わない。
2時間半も飲んでれば十分だろうと思っていたら、もう終点の豊橋だ。なんだ、もう着いたのか・・・

さらに豊橋でそばを食べて、宴会列車第2弾。今度は「こだま」に乗車する。
1名は京都へ帰るので、6名で3列シート2つで出来上がり。
さすがに新幹線は静かにしないとトラブルになりかねず、ボリュームを落としての二次会だ。


とうとうこのツーリングも終わりを迎えた。自分は新横浜で降りるため、ひと足早くお別れだ。
最後は皆さんに見送られてフィナーレとなった。

飯田駅から延々約5時間・・・よく飲みました! 
心配事はたくさんあったけれど、結局すべてうまくいった。

やはり事前のプランニングがとにかく大切だとあらためて感じた。
そしてツーリング経験豊富な重鎮たちのノウハウは、やはり素晴らしかった。

本来走りたかったコースも、もう一泊すれば十分可能なコースだ。
またいつか機会を待って挑戦したいコースだ。

秋葉街道・伊那谷三日間の旅。とにかく天気に恵まれ、美しい紅葉を満喫することができた。
何もかもお見事でした。

最後に、今日一日のハイライトをご覧ください
●Youtube動画 昼神温泉〜梅ヶ久保神社〜飯田駅 https://youtu.be/lhlTQ_Imtvc


 
距離: 20.2 km
所要時間: 4 時間 16 分 38 秒
平均速度: 毎時 4.7 km
最小標高: 533 m
最大標高: 794 m
累積標高(登り): 336 m
累積標高(下り): 354 m

(2025/11/17 走行)


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